法定相続人となる人

遺言がなくても財産を相続できる人は民法で決められています。

この人たちのことを法定相続人といい、法定相続人には、配偶者・直系尊属・直系卑属・兄弟姉妹などがいます。

しかし、法定相続人には順位の指定があり、必ず法定相続人全員が被相続人の財産を相続できるわけではありません。

第1順位-直系卑属(子・孫)
第2順位-直系尊属(父・母・祖父母)
第3順位-兄弟姉妹

第1順位の者がいなければ第2順位の者に、第1順位の者と第2順位の者がいなければ第3順位の者に相続権が移る方式になっています。

大原則は民法の条文にもあるように、「配偶者は常に相続人となる」ということです。

◆いくつかのケースを考えながら、誰が相続人になり、どれくらいの遺産を相続できるのかを見ていきましょう。

相続の最も典型的なケース

ケース1は最も典型的なもので、直系尊属の父と母はすでに死亡しており、その後、夫(被相続人)が死亡した状況です。

配偶者は、夫の遺産の2分の1を相続し、その残りを子のA・B・Cがそれぞれ3分の1ずつ相続することになります。

遺産総額が3,000万円とすると

<妻>
3,000×1/2=1,500万円

<子ABC>
1,500×3分の1=500万円


相続ケース2

ケース2では、子Aが死亡した後、又はそれと同時に妻(被相続人)が死亡した場合を考えます。

夫の直系尊属と子Aの配偶者には相続権はありません。

配偶者である夫が妻の遺産の2分の1を相続し、その残りを子のB・Cと孫がそれぞれ3分の1を相続することになります。

遺産総額が3,000万円とすると

<夫>
3,000×1/2=1,500万円

<子BCと孫>
1,500×3分の1=500万円


相続ケース3

ケース3は先妻が死亡又は離別し、その後、夫(被相続人)が死亡した場合です。

第1順位の直系卑属があるので、直系尊属には相続権はありません。

現在の配偶者である後妻が夫の遺産の2分の1を相続し、子A・B・C・Dはその残りを均等に分け合います。

遺産総額が3,000万円とすると

<後妻>
3,000×1/2=1,500万円

<子A・B・C・D>
1,500×4分の1=375万円

後妻が内縁の妻であって、子Dが認知された非嫡出子の場合は、子Dは子A・B・Cの半分となります。


相続ケース4

ケース4は直系尊属が死亡した後、夫(被相続人)が死亡した場合です。

被相続人には子がなく、実の妹夫婦の間に子がいます。相続人は配偶者の妻と妹のみです。

妻(配偶者)の相続分は遺産の4分の3で、残りを妹が相続します。

遺産総額が3,000万円とすると

<妻>
3,000×3/4=2,250万円

<妹>
3,000-2,250=750万円

もし、この妹が死亡していれば妻と代襲相続人のおいが相続することになります。

義理の弟には相続権はありません。


相続ケース5

ケース5は父が死亡した後、夫(被相続人)が死亡した場合です。

妻(配偶者)が3分の2、母が3分の1を相続します。この場合、妹は第3順位なので相続権はありません。

遺産総額が3,000万円とすると

<妻>
3,000×2/3=2,000万円

<母>
3,000-2,000=1,000万円


相続ケース6

ケース6は少しまれなケースかもしれません。

父と母はすでに死亡しており、夫Cが被相続人で、Aとはいわゆる異母兄弟(半血兄弟)の関係です。

妻Dが遺産の4分の3、Bがその残りの3分の2を相続します。AはBの2分の1しか相続できません。

遺産総額が3,000万円とすると

<妻D>
3,000×3/4=2,250万円

<B>
750×2/3=500万円

<A>
500×1/2=250万円


相続についてご相談されたい方はメールでご連絡下さい。