遺産分割のやり直し

一度行った遺産分割のやり直しは、原則的にはできないことになっています。しかし、原則ある所に例外ありですから、やり直しのできる場合をみていきましょう。

例えば、詐欺や脅迫といったものが加わった遺産分割はそれを無効とし、再分割をすることができます。

また、相続した土地の評価が、当初の算定とは違って大幅に低かったというような、重大な瑕疵が認められるような場合や、相続した土地が実際には第三者に譲渡されており、取得することができなかったといったような場合などは、その土地の財産評価の大きさによっては、再分割が認められることもあります。

その他、一部の相続人や包括受遺者が参加していなかったという場合も、再分割の対象となるでしょう。

胎児は、通常一般人のような能力は認められていませんが、相続と遺贈については、胎児が生れてくることを条件に権利能力を認めています。

したがって、その胎児が相続人の対象の一人となっていれば、それを無視して遺産分割をしても、胎児が生きて生まれた時は、遺産分割のやり直しをしなければならなくなります。

そのため胎児がいる場合には、その出生を待って遺産分割協議をするのが良いでしょう。

もし、上記のような理由もなく再び遺産分割をやることになり、ある相続財産を次男から長男に変更するといったような場合には、一旦は次男の所有物になっているので、それは長男への贈与ということになってしまいます。

贈与となった場合には、当然贈与税を支払わなければなりません。

ただし、故人の形見の品物で換価価値のないものは、相続人間で自由に分けることができるので、遺産分割のやり直しとは無関係です。