贈与による相続税対策とは

相続税の納付義務が予想される場合は、預貯金が多額になるようであれば、やはり相続税対策として生前贈与をしておくことが、かしこい節税対策の一つになることがあります。

もちろん贈与をすれば贈与税の負担もありますが、その贈与額によってはかなりの節税になります。

それでは生前贈与をした場合としなかった場合の納税額を比較してみましょう。なお、ここでの計算は法定分の相続をし配偶者控除のみを適用したものであり、速算的に相続税を算出しています。

★3億円の財産を配偶者と子2人で相続した場合

生前贈与をしなかった場合

相続財産として3億円 法定相続人3人で基礎控除8,000万円
課税総額は3億円−8,000万円=2億2,000万円
相続税合計額4,600万円
納付税合計は額配偶者は控除により無税となり、子2人に対して2,300万円

生前贈与をした場合

配偶者と子2人に300万円ずつ10年間贈与をすると、贈与合計額が9,000万円で、贈与税が年間1人あたり19万円になるので、10年で570万円
相続時の財産は 3億円−9,000万円=2億1,000万円
基礎控除が上と同様に8,000万円
課税総額は2億1,000万円−8,000万円=1億3,000万円
相続税合計額2,150万円
納付税合計は額配偶者は控除により無税となり、子2人に対して1,075万円
贈与と相続の納付税合計は570+1,075=1,645万円

生前贈与をした場合としなかった場合の差は2,300−1,645=655万円

上記の例のようにその差は歴然としています。しかし、その都度贈与税を支払わなければならないので少し抵抗のある方法かもしれません。

また相続はいつ始まるか予想が立たないので上記のようにうまくいかないかもしれません。

相続税対策としていくらでも贈与をして良いというものでもありません。仮に贈与税がかからないように毎年1人に100万円ずつ贈与した場合の相続時の税額は1,825万円となり、上記よりも納税額が高くなります。

生前贈与は少なすぎても多すぎてもいけないということです。