相続・遺言・贈与等の質問とその回答例

相続や遺言等に問題が発生することがよくあります。要らぬ紛争になる前に、少しでも知識を身に付けておくことが大切です。

それぞれのケースにおいては若干対処法も異なってきますので、あくまでも参考程度にご覧ください。

ご自分の場合にはどうすれば良いのか、もっと具体的にお知りになりたい方は、どうぞお気軽にご相談ください。

よくある疑問集

Q.相続の手続き後に別の遺言書が見つかりましたが、どうなるのでしょうか。

A.自筆証書遺言や秘密証書遺言では、遺言書の原本は遺言者側が保管することになるので、紛失したり利害関係者に隠匿されたりして、後になって発見されることがあります。

遺言による相続は法定相続に優先します。また、遺産分割協議と遺言の指定が異なる場合には、遺留分を侵害しない限り、遺言に反する協議の結果は無効になります。

遺言書の内容によって協議案に反対のある者がある時は、その遺言に従って遺産分割をやり直すことになります。

しかしながら、相続人全員が協議による分割案に異議がなければ遺言とは異なる分割になっても構わないことになっています。

遺産の一部が相続人以外の者に遺贈するよう記してある場合は、その遺言に従わなければなりません。

遺言には消滅時効はありませんが、遺産を取得して善意・無過失で10年(悪意・有過失は20年)を経過すると時効取得が成立し、その後に遺言書が発見された場合には遺言通りの実行は難しくなります。

また相続回復請求権は、相続人やその法定代理人が、相続権を侵害された事実を知った時から五年間この請求権を行わないときは時効によって消滅し、知らなくても相続開始の時から二十年を経過すると消滅します。

Q.作ったはずの遺言書が紛失して見つかりません。

A.公正証書遺言であれば原本は作成時より20年間、もしくは遺言者が100歳になるまで公証役場に保管してありますので、遺言書の内容は証明されます。

しかし他の遺言方式の場合、公証役場ではその内容を証明できないので、遺言書のコピーであるとか、作成時のメモや下書き、遺言の存在と内容を証明できる人などがいれば、家庭裁判所において裁判官による判断をもって証明できる場合もあります。

Q.遺言書を訂正したいときはどうすればよいでしょうか。

A.遺言書を作成して時間が経つと、遺言内容を変更したいと思うことがあります。わずかな訂正で済むのであれば、内容文の欄外に押印に使用した同じ印鑑を押して、○字削除、○字加入というように訂正できますが、公正証書遺言の場合は原本が公証役場に保管されているので、手元の遺言書を訂正しても意味はありません。

何箇所も訂正したい場合は、書面が分かり難くなったりするので、遺言書自体を作り直したほうがよい場合もあります。

新しく書き直した自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合、以前の遺言書は破棄したほうがよいでしょう。同じようなものが複数あるといざこざの発生につながりかねません。実質的には、古い遺言は新しい遺言と抵触する部分は無効になります。

Q.外国語での遺言はできますか。

A.日本語以外での遺言もできます。外国で生まれた人や、日本に帰化した人はすぐには日本語を覚えたりするのは困難ですから当然でしょう。

ですから日本に滞在している外国人も、日本の民法に従って遺言をすることができます。日本には押印と言う印鑑を使う習慣がありますが、自分の名前で印鑑を作って押印してよいですし、それがなければ拇印でも有効とされるようです。

遺言が有効になる要件や効力は国によって違いがあるので、自分の戸籍のある国以外で遺言をする時や外国にある不動産について遺言をする時は、どの国の法律に則って遺言をするかが問題になります。

日本では遺言の成立及び効力については、その遺言の成立時における遺言者の本国法が適用されると規定されています。

Q.外国に滞在中の遺言はどうすればできますか。

A.自筆証書遺言であればどこで書いても問題ありませんが、公正証書遺言や秘密証書遺言では公証人という人ががかかわってきます。

公証人は日本国内のみでしか職務を行うことができませんので、この場合には滞在中の国にある日本領事館の日本領事が公証人の職務を行います。

証人は外国人であってもなることができます。

日本領事の配偶者と四親等内の親族、日本領事の書記やその雇い人は証人になれないとする以外は、証人の資格は通常の遺言の証人と同じです。

Q.遺言書は勝手に開封してはいけないのですか

A.公正証書遺言の遺言書であれば、原本は公証役場に保管されおり、遺言者側のものは副本ですので開封しても構いません。

しかし、自筆証書遺言などでは家庭裁判所での開封と検認が必要です。封筒の表紙に「遺言書」と記してあるものを勝手に開封すると、5万円以下の過料が国や自治体から課せられます。これは罰金ではなく、刑罰はありません。

検認の手続きは、相続人全員の戸籍謄本等と揃えて家裁に「検認審判の申立て」をします。申立書は家庭裁判所に備えています。

検認の手続きをせずに開封しても無効になるということはないのですが、1人で勝手に開封すれば、相続人間で後々紛争になることもあるのです。

遺言書の表紙に一言以上のことを書き添えておくとよいと思います。

Q.贈与契約で土地をもらっていましたが、登記をする前に受贈者が亡くなりました。

A.受贈者が亡くなっても、その法定相続人には、贈与者に対して所有権移転登記請求権の権利があります。贈与契約書が残っていればいつでも殆ど問題なく移転登記手続きは出来るでしょう。

しかし、口約束だけの贈与であれば、証拠としても立証しがたく 、贈与者側が後になって贈与をした覚えはないなどとなれば大変です。ですから所有権移転等の事実が発生したらすみやかに登記をすることが大事です。

登記のことを知らずに、土地を手に入れてもそのままにしている人は多いものです。法律上は登記をしなくても違反にはなりませんが、悪意のある者がだましてその土地を手に入れようとしてきた場合、その対抗要件として登記をしておくことは大変重要です。

仮に第三者があなたより先にその土地を登記した場合、法律上対抗できなくなる恐れが大いに出てきます。

相続においても、その時点において登記をしておかないと、後の相続人となる人たちがその土地の登記をするにも、民事裁判をして判決による登記をしなければならなくなる事態にもなりますので大変面倒です。

また、その土地を相続人のうちの誰が受け継ぐのかということで大きな揉め事に発展しかねません。